台湾での通信販売の浸透率は11.7%だと言われ、
これからまだまだハイスピードで発展していくと予測されています。
台湾への進出をいかに成功させるのか、については、
やはり日本と台湾の違いを把握することだと思います。
以下、私個人の見解をシェアさせて頂きます。
今回ピックアップしたのは以下3つです。
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1.モール、リテールの利用率が高い
2.定期よりまとめ買い
3.1.2で生じた課題への解決方法
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1.モールとリテールの利用について
台湾では、「通販企業」と言うと総合通販のことが先に浮かび上がります。
以下、通販企業のPV数ランキングです。
1.Shopee 2.Momo 3.Books.com
特に2番のMomoは台湾の大手企業「富邦(Fubon Financial)」の子会社であり、
総合通販では最も浸透しているサイトです。
※2023年台湾全体の通販利用売上の5,035億元に対し、
Momoの2023年度の売上は1,092億元で、21.68%を占めています。
※ShopeeのPV数は高いが、2022年の台湾での売上は
おおよそ300-400億元だと言われ、Momoに敵うことができません。
Momoはどうしてこんなに台湾人に人気があるのか・・・
それは主に「値段、還元システムの運用、対応スピード」という3つが主因かと思われます。
Momoは、常に最安値でありキャンペーンの実施頻度が多く、加えてクーポンを発行しています。
また、Momoコインという還元システムがあり、
2019年実施以来、2023年まで100億元相当のポイントを発行しています。
そして、利便性においては、プラス料金がなくても基本的に24時間以内に配達し、
クーリングオフ期間内(7日間以内)であれば、お電話一本で返品できることができます。
なかでも、1番目に挙げた「価格面」が最も影響度合いが高いと思われます。
台湾のエンドユーザーは、最安値であれば公式チャンネルではないことろから買ってしまうこともあります。
例えばShopeeの個人輸入、Facebookで見かけた公式っぽいLPとかはよく聞きます。
※その代わりに詐欺に遭ってしまうのです…。
とある会社様のアウトバウンド毎月実施し、毎月のようにこういったお声を聞きます。
その他、公式LP、アウトバウンド、ドラッグストア(か、他のリテール系)、
Momo(か、他のモール)がある場合、単価が一番安い、おまけが一番付くところを選びます。
そして、今挙げたドラッグストアについては、
Momoという総合通販サイトがある一方、このドラッグストアの力も無視してはいけません。
台湾は土地が狭いから、どこ行っても日本ほどに交通時間をかける必要なく、買い物が便利です。
2023年の統計資料より、台湾全国のドラッグストアと薬局は6,800軒を超え、
コンビニ(セブンイレブン)より多いです。
しかも、それぞれメンバーシップ(アプリ、Line公式アカウントなど)があり、
毎週〇曜日限定のキャンペーンを打っています。
エンドユーザーからすると、お手頃な価格で気軽に購入できることは何よりです。
弊社がお取引をしていて、今までは自社通販だけだったが、
知名度を広げ違う客層を狙うためにMomo(モール)とドラッグストア(リテール)
に展開を始めた会社様は3~4割います。
上記の特徴も2点目の「定期よりまとめ買い」に関わってくるので、また後で説明します。
ただ、モールとリテールは知名度と売上が見込めますが、
購入履歴を通販企業側で把握・運用できないところが致命的です。
購入チャンネルを多く設けるのは新規獲得と売上を伸ばすにはいいことですが、
ロイヤル顧客を育成し、商品を長くご愛用いただくためには、
新規獲得およびリピート時にはやはり公式に誘導することがおすすめです。
公式サイトに誘導するには、広告の打ち方が大事になってくるのですが、
広告の効率を最大化するには「タイミング」を設計することです。
この「タイミング」については、台湾人の『キャンペーン好き』という性格を理解しなければなりません。
台湾の通販では、3つの大型キャンペーンがあるのですが、
その大型キャンペーンに合わせることが最も大事であり簡単です。
■1~2月の春節(台湾のお正月)
■4~6月(母の日、618セール)、
■9~12月(周年慶、ダブル11・12、クリスマス)
※周年慶=台湾の年末バーゲンセールのことを指します
では、これらのキャンペーンでは、どういった施策設計がベストなのか。
ここで「定期よりまとめ買い」の説明をさせていただきます。
定期よりまとめ買い
日本では、お客様にお気軽に商品を使っていただけるようにお得な定期コースを案内する企業様が多いです。
しかし、台湾ではまとめ買い(都度買い、単品買い)のほうが好まれ、
縛りがなく自分のペースで使えることのほうが重要視されます。
さらに言うと「定期」という言葉は週刊誌や新聞紙の定期配送のような半年契約や一年契約を
結ばないといけないというイメージを台湾人は持っています。
※もちろん通販が当たり前の現代では、「定期」の概念を持つお客様も増えており、
インバウンドでの新規定期引き上げ率も6年前に弊社が立ち上げた当初より高い傾向にあります。
台湾では、日本ではあまり考えられない「3ヶ月分、半年分、1年分」を
まとめて買ってしまうお客様は大勢います。
実際に1本単価1,000元前後の商品をアウトバウンドで案内すると、
施策設計により客単価は3,500~5,500元前後になりますが、
まとめ売りにし1個単価を安く設定した上で、
さらに「おまけ」までつけると実績上客単価は10,000元近いレベルになります。
どしてこんなにたくさん買えるのだろうと、上記の実績を開示したところでよく聞かれるのですが、
やはりお買い得感と+αの「おまけ」もたくさんつくことが理由になります。
会社ごとに、〇〇キャンペーン限定の商品を出したり、限定の「おまけ」をつけたりすることで、
よりエンドユーザーの購入意欲をそそることができるのです。
弊社がお取引をさせていただいている会社様の中に、
定期モデルを数年間展開するもLTVのトップラインの成長が停滞してきたため、
まとめ売りを導入したところ成功したパターンがありました。
とはいえ、いくら多個数のセットが売れたとしても、リピーターがいなければ意味がないことは明白です。
実際、まとめ売りだけに目をつけ、リテールの売上とWeb広告の効率が下がり始めたタイミングで救える手段が
ほとんどないという窮地に追い詰められた会社様もいます。
1.2で生じた課題への解決方法
如何に上記のジレンマを避けるか。
やはり、日本でのやり方をそのまま持ってくるのではなく、
台湾の文化に合わせてアレンジしてから運用することです。
以下、いくつの例を挙げてみます。
・新規獲得件数をできるだけ多くしたいのでれば、単品やテスターだけで広告を打ち、
その後、OTO+アウトバウンドで定期や纏め買いに引き上げること
※OTO=One Time Offerの略。
Web式の2Stepで、お客様はWebで単品/トライアルを購入すると、
まとめ/定期/本品の特別オファーが案内されるページに飛びます。
・定期利用の方の定着度を向上させるには、「会員制度」をしっかり設計し、
同梱物+コールセンターの告知で認知度を広げること
・定期離脱者や休眠(半年以上リピートしていない)リストを掘り起こすには、
大型キャンペーンの単価とおまけを利用し、アウトバウンドの力を利用すること
初めて台湾に進出する会社様にとっては日本との文化の違いに苦戦するケースもあるかと思いますが、
信頼できるパートナーと組み、コツを掴むことで成功するパターンも少なくないです。
冒頭でお話した通り、台湾の通信販売の浸透率は11.7%で、韓国やアメリカのように30%以上ある国と比較し、
まだまだブルーオーシャンだと言えるでしょう。
しかもその11.7%は、約6年間だけでハイスピードに伸びた数値です。
これからまだまだ成長していくであろう台湾市場でぜひ挑戦してみてください。
そして、台湾通販の事情をさらに詳しく知りたい方はぜひご連絡ください。お待ちしております。